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障害年金(厚生年金・国民年金)の認定基準の改正について

 
  •  厚生年金・国民年金では障害年金の制度がありますが,これまでは発症から1年半が経過しないと申請できないという硬直した年金窓口の取り扱いのため,ヤコブ病患者は,発症から急速に無動性無言になるにもかかわらず,障害年金の支給が大幅に遅れるという問題がありました。
  •  私たちは,そのような取り扱いの誤りの是正を求めて厚生労働省への要望を繰り返していました。
  •  今回,厚生労働省は,そのような問題への対応も含めた認定基準の改正を行うこととして,改正案を出してパブリックコメントを求めました。改正案は,発症から1年半が経過しなくても症状固定と認めるとしたことなど評価できるものですが,人工呼吸器や胃ろうの措置をしないと症状固定と認められないのではないかと読めることなど不十分な内容と考えて,私たちは意見を提出しました。
  •  2012年5月30日,私たちの意見も含めたパブリックコメントへの意見に対する厚生労働省の回答が公表されました。回答の文章だけでは分かりにくい点もありますが,交渉で確認した厚生労働省の見解に基づいて整理すると,今後の取り扱いは下記のとおりとなるということです(改正基準は2012年9月から適用されます)。
 
  • 1 ヤコブ病を発症して初診から6ヶ月以上が経過し,全介助状態であると主治医が判断すれば,症状固定の判断により障害年金の支給が可能となる。
  • 2 症状固定判断の要件として,呼吸あるいは栄養摂取に関して一時的ではない措置がされていることは必要だが,それは,人工呼吸器や胃ろうに限られず,経鼻栄養などの措置でもよい。
  • 3 初診から6ヶ月というのは,症状固定の判断をした主治医のところでの初診日に限られず,それ以前に,ヤコブ病を発症して別の病院で初めて診察を受けた日でもよい。